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株式会社NSK~シート防水(塩ビ・ゴム・TPOの特性と溶着)~

皆さんこんにちは!
株式会社NSK、更新担当の中西です。

 

「広い屋上を軽快に、均質品質で仕上げる」。その強みを持つのがシート防水です。工場製の材料を溶着/接合して連続膜をつくるため、膜厚のバラつきが小さく、大面積のスピード施工に最適。一方で、溶着条件・風荷重設計・端末金物の出来で寿命が大きく変わります。本回は塩ビ・ゴム・TPOの違い、機械的固定/全面接着の選び方、溶着品質管理、立上り・ドレン・貫通部の必勝ディテールまで“現場で使える型”をまとめます。

 

1. シート別のキャラクター
1-1. 塩ビ(PVC)
• 長所:熱可塑でホットエア溶着が容易。白色・淡色で高反射仕上げが可能。成形部材・役物が豊富。
• 注意:可塑剤移行で既存塗膜や断熱材に影響。バリアシートや絶縁層を挟む設計が安全。溶剤には相溶・軟化のリスク。

 

1-2. ゴム(EPDM)
• 長所:伸び・追従性に優れ、大判ロールで継ぎ目が少ない。温度変化・動きに強い。
• 注意:基本はテープ接合/接着。熱溶着ではないため、プライマー→シームテープ→圧着の管理が命。コーナーやT字は補強パッチで二重化。

 

1-3. TPO(オレフィン系)
• 長所:可塑剤フリーで汚れにくく、ホットエア溶着可能。白色の高反射で屋上の表面温を下げやすい。
• 注意:材質相性は専用プライマー/接着剤が前提。溶着は温度×速度×圧力のウィンドウに敏感。
ざっくり指針: – 高速施工&溶着検査重視→PVC/TPO。 – 動きが大きい部位・大判一発→EPDM。 – 既存との相性・可塑剤問題はバリア層で回避。

 

2. 施工工法の選定—機械的固定/全面接着/保護
2-1. 機械的固定(MF:Mechanically Fastened)
• 概要:ディスク/プレート+ビスで下地(デッキ・下地板)に固定し、シーム上で溶着して連結。
• 強み:早い・乾式・含水影響が小さい。雨上がり後の再開が容易。
• 設計ポイント:
o 風荷重ゾーニング(中央・周辺・隅角)でピッチを変える。隅角は最も厳しく。
o 断熱上固定の場合、引抜試験やメーカー計算書でピッチ決定。
o 下地のねじ効き(板厚・材質)を事前確認。

 

2-2. 全面接着(FA:Fully Adhered)
• 概要:下地に接着剤を塗布し、シート全面を貼り付け。
• 強み:端部・入隅出隅の馴染みが良く、風音・バタつきが少ない。
• 注意:含水下地に弱い接着剤あり。露点差3℃以上・温湿度管理必須。

 

2-3. 保護工法(バラスト・保護断熱)
• 概要:シートの上に押えコンクリート・平板・砂利等で保護。
• 強み:耐候・耐風圧に有利、温度変化も緩和。
• 注意:点荷重・割れ・排水目詰まり。重量・構造チェックは必須。

 

3. 溶着・接合の品質管理(PVC/TPO=溶着、EPDM=テープ)
3-1. ホットエア溶着(PVC/TPO)
• 三要素:温度×速度×圧力。試験片でその日の最適値を先に出す。
• 手順:重ね巾80〜120mm(仕様書優先)→予備溶着(タック)→本溶着→シームローラー圧着。
• 検査:
o ピール・せん断の簡易テスト(ドライバー先端でプローブを入れ、剥がれないか)。
o 試験片のピール試験(必要に応じ)。
o ビード連続性を目視+指触で確認。
• T字・十字:角パッチで重ね部を二重化し、水の回り込みを遮断。

 

3-2. テープ接合(EPDM)
• 手順:清掃→プライマー→シームテープ→圧着。ローラーで圧力一定に。
• 要点:オープンタイム厳守、寒冷時は加温。T字はパッチで補強。
NG例:溶着温度だけ上げて速度も圧力も上げず“焼け焦げ”。一見くっついていても実は弱い。試験片→調整をルーチン化しましょう。

 

4. 端末・立上り・ドレン・貫通部の“勝ちディテール”
• 立上り:
o 高さ:外部は200mm目安(最低150mm)。
o 押さえ金物:水返し形状の金物+ビス固定+シール二面接着。上端は返しで毛細管上がりを止める。
• ドレン:
o 一体型フランジ(材質適合)に溶着。既存改修は改修用ドレンで差し込み+機械固定+止水材。
o サドル(盛り上げ)で逆流・滞水を防止(第3回参照)。
• 入隅・出隅:成形コーナー or 現場パッチで二重化。
• 貫通部:成形ブーツ+クランプ→周囲200mm幅で補強貼り。温度伸縮を考慮し余裕を持たせる。
• エキスパンションジョイント:ブリッジ材やルーズラップで剪断を逃がす。

 

5. 風荷重と固定ピッチ—“隅角が一番キツい” 
• ゾーニング:隅角>周辺>中央の順で吸上力が大。
• ピッチ設計:メーカーの計算書/設計表でねじピッチ・ディスク間隔を決める(下地厚・高さ・地形区分を入力)。
• 試験:必要に応じ引抜試験で下地の保持力を実測。
• 端部納まり:風返し金物と連続固定で“端からのめくれ”を防ぐ。

 

6. 断熱材・既存層との相性
• XPS・EPS:溶剤・可塑剤の影響を受ける場合、絶縁シートやボードで遮断。
• フェルト・旧防水:湿気だまりを作らないよう通気層 or 絶縁で切替。
• 可塑剤移行:PVC上に塗膜を重ねる場合は可塑剤バリアプライマーが必須(第5回)。

 

7. 気象・施工管理 
• 温度:溶着は10〜40℃(目安)。低温時は予熱・速度低下。高温時は温度下げ・速度上げ。
• 湿度・露点差:露点差3℃以上。朝露・霧雨は施工中止。
• 風:溶着部の冷却・埃に影響。防風シートや風下養生を。

 

8. 維持管理・補修—“貼って溶かして戻す”
• 清掃:落ち葉・砂埃→ストレーナ清掃。白系は汚れが寿命に直結(温度上昇→劣化)。
• 点検:年1回以上。端末金物の緩み・シール劣化・シーム剥離を重点。
• 補修:
o PVC/TPO:同材パッチをホットエア再溶着。縁は丸く切る。
o EPDM:プライマー+テープパッチ。
• 保証:定期点検・清掃記録が条件のことが多い。引渡し時に点検周期と責任範囲を明文化。

 

9. 事例
9-1. 3,000㎡屋上(機械的固定×TPO白色)
• 課題:夏季の室内温上昇・強風地域。
• 設計:TPO白色で反射。隅角ピッチ最密、中央は緩め。パラペット金物は水返し形状で連続固定。
• 結果:屋上表面温−10℃(夏季ピーク)。風音・バタつき無し。

 

9-2. 既存塩ビの改修(可塑剤移行対策)
• 課題:旧PVCの可塑剤が上がり汚染・ベタつき。
• 対策:バリアシートで絶縁→新規PVCを溶着。端部は金物+二面接着で締め。
• 結果:汚染再発なし。剥離ゼロ。

 

9-3. 開放廊下(EPDM全面接着)
• 課題:振動・温度変化が大きく、騒音配慮が必要。
• 対策:EPDM+FA。プライマー→テープでシーム処理、コーナーは二重パッチ。
• 結果:10ヶ月点検で継ぎ目良好、歩行感ソフトで評判◎。

 

10. 現場5分チェックリスト ✅
☐ PVC/EPDM/TPOの選定根拠(動き・臭気・反射・相性)
☐ MF/FA/保護の工法選択と理由
☐ 風荷重ゾーニングとピッチ設定(計算書)
☐ 溶着条件(温度・速度・圧)試験片の写真
☐ 角・T字の補強パッチ計画
☐ ドレン:一体フランジ+サドル+改修用可否
☐ 端末金物:水返し形状・二面接着・連続固定
☐ 断熱・既存層との相性(絶縁・通気)
☐ 清掃・定期点検の運用表と保証条件

 

11. まとめ—“スピード×均質×風設計”で寿命を伸ばす
シート防水は、工場品質×現場溶着というハイブリッド。勝ち筋は、溶着を数値で合わせる/風荷重でピッチを決める/端末金物の水返しで止めるの三点。材料の相性(可塑剤・断熱材)と清掃運用まで含めて設計すれば、広い屋上でも長寿命が実現します。

 

次回予告:「第10回 アスファルト防水(常温・熱工法の違い)」—トーチ/熱工法/常温の使い分け、ラップ幅・段葺き、改質アスの選定、火気安全・臭気対策、耐久とコストの最適点を解説します。⬛

 

 

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