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日別アーカイブ: 2026年1月26日

株式会社NSK~アスファルト防水(常温・熱工法の違い)~

皆さんこんにちは!
株式会社NSK、更新担当の中西です。

 

“重ねて、溶かして、つなぐ。” 長寿命で信頼の厚いアスファルト防水。改質アスファルトシートを熱で溶着(トーチ・熱工法)するか、粘着(常温)で積層するかで施工性・安全性・耐久が変わります。本回は、改質アス(SBS/APP)の基礎、段葺き(ステップラップ)のコツ、火気安全・臭気対策、ドレン・立上りの要点、そして数量・温度・写真で品質を“見える化”する方法まで実務で使える形に落とし込みます。

 

1. 用語と方式の整理
• BUR(Built-Up Roofing):アスファルトを熱で流し、フェルトを複数層重ねる伝統工法。現代では改質アスファルトシートとのハイブリッドが主流。
• 改質アスファルトシート:
o SBS(スチレン-ブタジエン-スチレン):柔軟・低温性に優れる。追従性◎。
o APP(アタクチック・ポリプロピレン):耐熱・耐候性に強い。高温域に有利。
• 熱工法:加熱(バーナー・溶融釜)でシート裏面やアスを溶融し溶着。強固な一体化。
• 常温(冷工法):自己粘着シートや常温接着剤で張る方式。火気・臭気を低減。居住中改修で強み。
ざっくり指針: – 安全・臭気制約が強い→常温(自己粘着+局所熱) – 広面・長寿命重視→熱工法(トーチ/熱融着) – 寒冷・動き大→SBS優位/高日射・高温→APP優位(仕様書優先)

 

2. 標準構成と段葺き(ステップラップ)
• 層構成の一例(露出防水):
1) 下地(RC・押え・断熱)
2) アスファルトプライマー(含浸・付着向上)
3) 下貼り(ベース)シート
4) 上貼り(キャップ)シート(鉱物粒仕上げ等)
5) トップ保護(必要に応じ遮熱・塗装)
• 段葺き:重ね目を互い違いにずらすことで水路を作らない葺き方。縦・横の継手位置が一直線にならないことが肝。
• 重ね寸法:長手80〜100mm、小口120〜150mmが一般的(製品仕様優先)。小口は水下側を上に。
• 立上り:シートは立上り200mm以上を確保。面と立上りを先行で入隅補強シートでつなぐ。

 

3. 熱工法の実務—“溶かす量”と“ビード”が生命線
• 温度管理:
o 溶融釜:改質アスの推奨温度帯(例:160〜200℃)。過熱は劣化・発煙を招く。
o トーチ:炎の距離・角度を一定にし、光沢が出る程度に裏面を炙る。“黒光り=OK、焦げ=NG”。
• 溶け代(ビード):重ね部から2〜5mmの溶け出しを連続で確保。ビードの連続性=溶着品質。
• 速度:早すぎ→未溶着、遅すぎ→焼け・収縮。試験片でその日の温度・風に合わせて速度調整。
• ローラー圧:シームローラーで圧着。角・T字はコーナーパッチで二重化。

 

4. 常温(冷工法)の実務—“密着の均一”が勝負
• 自己粘着シート:
o 施工前にプライマーで受け面の吸い込みを均一化。
o ライナー紙を少しずつ剥がしながら空気抜き。ローラーで全面圧着。
o 低温時は下地・材料を加温。高温時は粘着フローに注意し、端部押さえ金物で補強。
• 常温接着剤:
o 両面均一塗り→オープンタイム→貼付→圧着。塗りムラは後の膨れに直結。
• 局所熱併用:立上り・角・ドレン周りのみホットエアで追い溶着して信頼性を上げる“ハイブリッド”も有効。

 

5. 下地・断熱との相性と絶縁層
• 湿気だまり対策:旧防水や断熱上に敷く場合、絶縁シートや通気層で水蒸気を逃す。
• 断熱材:XPS/EPS上は耐熱・耐溶剤を確認。不燃面材付きボードやセパレーション層で受ける。
• プライマー:RCはアスファルトプライマー、金属デッキは防錆+目荒し+適合プライマー。

 

6. ディテール—端末・ドレン・貫通・エキスパンション
• ドレン:
o 改修用ドレンを機械固定+止水材で多重化。
o サドル(盛上げ)で逆流を防止(第3回参照)。
o 溝や側溝は流れ方向に段葺きして水を切る。
• 端末金物:
o 水返し形状+ビス固定+二面接着。上端に返しを入れて毛細管上がりを止める。
• 立上り・入隅:
o 入隅補強シート→本体シート→キャップシートの順で三重化。
• エキスパンション:
o ブリッジシートでせん断を逃がし、押さえ金物は浮かせ納め。

 

7. 臭気・火気・安全—“段取りが最大のリスク対策”
• ホットワーク許可:火器使用届・近隣掲示・火気監視員配置。
• 消火:粉末ABC・防炎シート・消火バケツを常に手の届く位置に。ガスボンベは直射日光回避・転倒防止。
• 臭気:作業時間帯の配慮、活性炭フィルタ付き負圧集塵や脱臭剤。居住中は常温主体に切替。
• 溶融釜:温度計二重、オーバーヒート警報、飛沫・火傷対策。

 

8. 気象と養生 
• 温度:5〜35℃目安。低温は柔軟性低下→割れリスク。高温は粘度低下→流れに注意。
• 湿度・露点差:3℃以上確保。結露面は施工中止。
• 風:トーチ炎が流される→防風養生。砂塵混入にも注意。
• 雨:工程は区画完結で切る。端末まで完結してから退場。

 

9. 品質管理(ITP)—数量・温度・写真で“証拠化”
• 数量(kg/㎡):ベース/キャップで所定使用量を日報に記録。過少はピンホール・割れ、過多は流れ・収縮の原因。
• 温度ログ:溶融釜温度・外気・表面温を時間記録。 “温度×速度×ビード”の三位一体で管理。
• 写真標準:
o 段葺きの継手位置マップ
o ビードの連続が分かる寄り写真
o 端末金物・ドレンのディテール
o ホットワーク安全の設備配置

 

10. よくある不具合と是正 ⚠️
• ビード不連続:未溶着→再加熱→圧着。温度・速度を見直し。
• 膨れ(ブリスター):含水閉じ込め→絶縁層・通気・切開乾燥→再張り。
• 蛇行・シワ:引張りすぎ・温度ムラ→一旦戻して再加熱、端部はテンション均一に。
• 端末の毛細管漏水:返し不足→水返し金物増設+二面接着。
• 焼け・焦げ:加熱過多→速度アップ/距離調整、材料交換。

 

11. 事例
11-1. 学校屋上(5,000㎡)—熱工法×APP
• 背景:夏季高温・長寿命要求。
• 設計:APPキャップシート×熱工法、隅角ピッチ最密、段葺き明確化。
• 結果:引渡し後2年点検で膨れゼロ。室内温上昇も−3〜5℃に寄与。
11-2. マンション改修—常温主体×局所熱
• 背景:居住中・臭気クレーム懸念。
• 設計:自己粘着ベース+キャップ、立上り・ドレンのみホットエア。掲示・時間帯配慮。
• 結果:クレームゼロ。工期短縮と安全性を両立。

 

12. 現場5分チェックリスト ✅
☐ SBS/APPの選定根拠(温度・動き・寿命)
☐ 熱/常温の工法選択と臭気・安全条件
☐ 段葺きの継手計画(縦横の直線回避)
☐ 重ね幅(長手・小口)とビード連続確認
☐ ドレン・端末金物のディテール(返し・二面接着)
☐ 絶縁・通気の要否(旧防水・断熱上)
☐ 温度ログ(釜・外気・表面)と数量(kg/㎡)
☐ ホットワークの安全設備・監視員配置

 

13. まとめ—“厚み×溶着×段葺き”で王道の耐久を
アスファルト防水は、材料寿命だけでなく積層の学問です。段葺きで水路を消し、ビード連続で一体化を担保し、数量・温度で再現性を持つ。安全・臭気への配慮から常温・局所熱のハイブリッド運用も武器。厚み・溶着・段葺きの三拍子を守れば、王道の長寿命屋上が手に入ります。

 

次回予告:「第11回 端末・立上り・笠木・パラペットの納まり」—“雨は端から入る”。水返し金物、折返し高さ、笠木ジョイント、入隅・出隅の補強、パラペット笠木の“裏の水”を止めるディテールを総点検します。

 

 

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